北米でマルチリンガルの子育て、仕事、海外生活と日々奮闘中の筆者が感じた日本と海外の違いや気づきを綴るコラム。

第19回は、「海外ならではの夏休みの過ごし方」です。
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夏だ‼
カナダは夏といっても涼しいでしょう?と聞かれたりもするが、そんなことはなく…30度を超えることも結構ある。ここ最近は、カナダも夏真っ盛りといった陽気でとても暑い。

 

ここカナダでは、学校にもよるが、教育施設の夏休みは6月中旬〜8月末までと、とても長く、夏休み中の旅行や予定はだいぶ前から検討したりする。ひと夏が終わると「来年の夏はどうしようか?」などといった会話がはじまるくらいで、長ーい夏休みを満喫するために、子どもたちは学校を、大人たちは仕事をまた1年間がんばるのだ。

 

日本にいた頃は、夏のイベントに参加したり、日帰りで海に行ったりとしていたが、どちらかというと何かの催し物ありきで計画を立て、泊まりといっても1泊〜2泊ほどで出かけることがほとんどだった。それに、あれもこれもと欲張ってたくさんの予定を入れてしまい、結局は疲れた身体を引きずりながら、休み明けの勤務がはじまるということも多かった。

 

カナダに来てからは夏休みの過ごし方がガラッと変わった。海外の人たちは、たとえ観光であっても、休み中の行動はできるだけのんびりとしたいと考える。どこかにいって予定を入れるとしても1日に1つ、または1箇所で、滞在中の何日かはのんびりする時間を必ず設ける。そのためどこかへ旅行に行く際は、だいたいが3泊〜10泊といった少し長めの旅程になったりする。

 

この原稿も実はいま山の中で書いている。この場所は街中から車で1時間半ほど走った山の中で、キッチンやランドリー室、生活用品が揃っている別荘と目の前には直径2kmほどの湖が広がっている。その湖の一角には砂浜も作られていて、砂浜で遊んだり、湖で泳いだり、ハイキングをしたりと外でのアクティビティには事欠かない。

 

朝起きてのんびりと朝ごはんを食べた後は、天気が良ければ砂浜で遊び、大人はその様子を眺めながらのんびりするか、本を読む。お昼は、気温が高すぎなければ外でピクニックもできるし、食べた後は湖に入って少し涼み、疲れればお昼寝をする。午後は、山の中をハイキングしたり、庭で子どもと遊んだりして、夕方になると大人はアペリティフを呑みはじめる。夜は、焚き火をしてマシュマロを焼いて食べたり、星空が綺麗なので少し散歩をしたりするのだ。

 

ここ5年ちょっとは、こういう夏休みの過ごし方をしている。はじめの頃は、何もしないでのんびりと過ごすことにあまり慣れていなく、4日も経つとそろそろ街へ帰りたいと思っていた。しかし、それが1週間になり、今年は2週間弱とどんどん期間が伸びてすっかり慣れた。

 

自然の中にいて、自然の流れや気候、時間に沿ってのんびりと過ごし、気の向くままに遊んで、大好きな本を読む毎日というのは、ほんとうに贅沢な時間だなぁとこの歳になって思う。日々考えている仕事のことや家庭のあれこれ、やらなけばならない事などをこの時間だけは忘れ、自分の好きなように過ごすのだ。

 

こういう夏休みを過ごすようになって、こちらの人は休暇の過ごし方がすごく上手だなと感じる。日々を忙しくすごしているからこそ、休みの日はしっかりと頭も心もリセットさせるし、そういう時間を楽しめる術も知っているのだ。大人も子どもも、”〜をしなければ!”という思考から解き放たれる時間が人にはとても必要なのだと思う。

 

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SASAKI

 

海外移住をきっかけに本格的にライター・エディターとなる。英仏話者。人々の生き方や働き方、子育てに興味があり、取材・インタビュー記事が得意。現地では新たな挑戦として、現地企業でマーケティング・カウンセラーも経験し、海外と日本の架け橋となるようなサポートもしてみたいと考えている。