北米でマルチリンガルの子育て、仕事、海外生活と日々奮闘中の筆者が感じた日本と海外の違いや気づきを綴るコラム。

第21回は「子どもはだれ似?」です。

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やっと産まれた、かわいいかわいい我が子。

家族や夫と「目はママ似だね。鼻はパパかな?おでこはおじいちゃんじゃない?」などと、喜びいっぱいに会話をする人も多いことと思う。子どもの、特に赤ちゃん時の顔は数週間や数カ月でがらりと変わったりもするので、こういう話題は家族や親しい友人の中で、頻繁におこなわれる。しかしこの手の話題は、ヘタをすると不協和音にもなりかねるんだなぁと、海外の子育てで感じたことがある。

 

私は初めての出産はカナダで経験したので、妊婦中は病院選び〜出産、その後の予防接種や海外での子育てについての情報をまったく知らず、とても不安だった。そのため、同じような環境にいるプレママや先輩ママと知り合いたい!と思い、わりと積極的に外出し、一時周りにたくさんの赤ちゃんがいたものだ。そして、そこで繰り広げられる会話に少し疲れてしまったことがある。

 

私が知り合った人は7割方日本人だったのだが、そのパートナーは外国人の場合がほとんどだった。だからなのか、子どもが生まれると「ママ似で日本人の血が強いねぇ」「パパにそっくりでミックスにみえない〜」といった会話を頻繁に聞いた。そして、不思議と日本人同士の夫婦から産まれた赤ちゃんのときは、「可愛いね〜」というコメントはあっても、どっち似だね!という言葉はほとんどなかったりした。

 

この会話にはあるパターンがあって、ママ似といわれた人は「えーそうかなぁ、夫似にしかみえないんだけど〜」となんとなく心外というように返答していた。この話題はもしかしたら若干地雷になるのかもしれない…と密かに思ったものだ。そして、どっち似的な話しになったときには「ママとパパどっちにも似てるね」と言うようにした。それでも、「私には夫似にしかみえないなぁ」と微妙な空気で返事をされることもあり、そうか半々もNGなのか…と困惑したものだ。

 

さて、私の場合はといえば、やはり「アジアの血が入ってるねぇ」「外人にしかみえない」「半々だねぇ」と、もはや顔の造作ではなく、見た目が日本人か外国人かのコメントを沢山もらったものだが、こんなに可愛い子が私と似てるなんて=私も可愛いのか!? ニヤリ)…といった、勘違い含みのポジティブさも相まり、自分に似ているといわれるとウキウキしたものだ。(だってあんなに大変で、尋常じゃない痛い思いをして産んだのだ、似ていてくれなくては寂しい…!)

 

しかし、現在の我が子はどんどん夫よりの顔になってきており、園の迎えにいっても、初めての職員さんに会うと「誰のママかしら?」という表情をされることも多くなってきた。初対面で子と私が「親子」だと見抜いてくれる人が少ないので、公園などで遊んでいても子どもが「ママ〜」と言わないと、シッターと遊んでるくらいにしか思われていないのかもしれない、と思ったりもする。

 

子どもは健康第一!ではあるが、いつかまたママ似の時期が訪れてくれるのかな…と元気に走り回る子どもを眺めながら、うっすらと期待するこの頃なのだ。

 

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SASAKI

 

海外移住をきっかけに本格的にライター・エディターとなる。英仏話者。人々の生き方や働き方、子育てや教育に興味があり、取材・インタビュー記事が得意。現地では新たな挑戦として、現地企業でマーケティング・カウンセラーも経験し、海外と日本の架け橋となるようなサポートもしてみたいと考えている。